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行く先不明のパソコンblog

Thinkpadの天板とクリックボタンのメンテナンス

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(注 ここで対象にしているのはThinkpad E530ですが、同じ仕様のThinkpad全般に適用できるものです)

ボーナスも10万円給付金も来ないので手持ちのThinkpadのメンテナンスに命を懸けているbluetoneです。
E130とE530の天板とキーボードをメンテナンスしました。

E130。。。ジャンクのX121eを購入して明るめの液晶とピカピカのキーボードをはぎ取って移植。これはこれでよいのですが、意外に共通部品が少ないことに気が付きましたわ。特に底板は微妙に形状が違うので移植できません。底板を探している人は互換性がないので注意。金はXシリーズであるX121eのほうがかかってる感じ。E530同様に天板のピーチスキンがべたべたなのでメンテナンス。天板の移植は配線が多いのでなんか嫌なので断念。

E530。。。天板のピーチスキンがべたべたなので対策。また左クリックボタンがへたっているのでここをメンテナンス。ちなみにE520のキーボードとは互換性がない模様。


さて、Thinkpadのメンテナンスでみんなが困っているピーチスキンのべたつきとクリックボタンのへたりを解決するぞ!


ピーチスキンのメンテナンス
用意するもの:ダイソーの車内ツヤ出しクリーナーシート 厚手タイプ(21枚入り)
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Thinkpadの天板に使われているピーチスキン塗装はウレタン塗料を吹き付け塗装したもの。したがって扱いによってはウレタン樹脂が加水分解によって劣化
独特のべたつきを持つことで有名。加水分解というのは要するに分子間結合によって塑性を保っている樹脂の分子とH2Oが結合し、結果として樹脂の分子鎖を切ってしまうために塑性が失われる現象のことを指す。ウレタン分子の分子鎖は比較的簡単に切断しやすく、H2O結合(加水分解)だけでなく熱によって分子鎖を切ることもできる。この性質を利用したのがコイルなどに用いられるポリウレタン銅線である。リッツ線のような複雑な構造の銅線であってもすべての被覆を排除してはんだを乗せることができるのはこの熱による分子鎖の切断というポリウレタン樹脂の性質を利用したもの。半可通な自称マニア様が(自主規制

原因がウレタンの加水分解であることはわかっているので、劣化するまでの対策として「水拭きしない」は絶対。無水アルコールでふきふきするのが良い。または清掃はあきらめるという手もある。我が家のThinkpadでピーチスキン塗装になっている機体は4台あって、劣化との関係でいうと
X121e。。。劣化せず
E130。。。劣化
E520。。。劣化せず
E530。。。劣化
なんと古い機種のほうが劣化していないという結果になっている。もしかすると素材に違いがあるのかも知れない。劣化していない天板は適度な吸いつき(ウレタン塗装の専門用語でタック感というらしい)と、はらっただけでほこりが落ちる特徴があるので、汚れていない限りは乾いた布で乾拭きすれば長持ちするのではないかと思ったり。

それは置いといて、劣化してしまった天板はべたつくし、見た目ドロドロだし、なによりも部屋に漂うチリやほこりが大量にくっつくので非常に汚らしい。水拭きなどでほこりを取り去っても乾燥するそばからほこりがくっつくので通常のクリーニング行為にはほぼ意味がない。

このThinkpadの天板問題は日本だけではなく高湿度環境の各国、そして、天板を水拭きしちゃった全世界のユーザーの頭を悩ませてきた。ネットをいろいろと検索しても様々な手法が紹介され「きれいになりました」「まったくきれいになりませんでした」「よけいきたなくなりました」と評価はバラバラという混沌とした状況で決定的な解決策は見つかっていない。これはおそらく扱った天板の劣化の度合いに個体差があるためではないかと思うが、一番効果がありそうなのは「天板の上からクリアラッカーを吹く」である。さすがにそれはやり過ぎだと思うので(そもそもクリーニングじゃない!)もう一度原理原則に立ち返り簡易的な清掃手法がないかを検討した。

ウレタン塗装というものは別にThinkpad天板専用の特殊な塗装ではなく、一般的には布に吹きつけることでフェイクレザーにしたり、ビロード感を出したりと衣料品に使われて身近に存在している。また、自動車の車内の塗装はウレタン塗装されている場合が非常に多く、ダッシュボードやシートの表面などの質感演出に役立っている。

そこで、自動車のクリーニング用品の中からウレタン塗装の保護艶出しを売りにした「車内ツヤ出しクリーナーシート 厚手タイプ(21枚入り)」を選び、これで天板をきれいに拭き上げてみることにした。これまでの乱暴な清掃実験によってかなり天板が荒れているので、なかかなか艶出し成分が乗ってくれない。あとでわかったことなのだけど、簡単に艶出し成分が乗って「濡れ」感が出る範囲は劣化の進行度合いが激しいようだ。安いものなので何枚も使って天板全体が艶出しのシリコン成分が行きわたるようにする。放置して乾燥すると最初は拭きムラがかなり残るので汚く見えるが、そこにさらに清掃をかけると均一な仕上がり感を得ることができるようになる。この状態で一晩放置しよう。

結果 部屋の中に漂っていたほこりを吸いつけなくなった!乗っているホコリも手で払えば簡単に落とせるようになった!少なくとも外観が汚らしくなくなった!成功だ!

というわけで、めでたしめでたしで終わればいいのだけど(そういうblogはよくある)、実際には元の桃肌感が完全に戻るということはなく、若干強めなタック感は残った。また、なぜか天板の周囲に額縁状にべたつきが強い部分が残った。また、そもそもが艶出し成分でべたつきを抑えようという試みなので若ろ干の反射照り返し感が出るようになった(これは次第に消えていく)

本当にこれで成功なのかよくわからなかったため、この状態で今話題の次亜塩素酸ナトリウム水溶液(要するに水で薄めたキッチンハイター)で表面を水拭きしてみた。すると見事に悲惨なべたつき感が復活!水拭きしていない天板と比較すればその効果は歴然!再びシリコン仕上げして適度なタック感を復活させた。キッチンハイター使用を推奨しているblogあるけど、あれはどういう状況なんだ!?あと、激落ちくん使うと表面荒れるからやめた方がいいよ!いいよ!

このあと、シッカロールでベタつきを抑えるという究極の対策もあるらしいが、精密機器に微粒子状の異物入れるの怖いよ!怖いよ!

今のところ、このシリコン艶出しクリーナーシート仕上げが一番効果あったのでこれはおすすめ。ほかにも使えそうなカー用品あると思うので物色中。あと、家具の保護艶出し用品を検索中。


クリックボタンのメンテナンス
人はなぜThinkpadを使うかと言えば、それは1も2もなくトラックポイントを使いたいからだ。タッチパッドだの、マウスだの、そんな非実用的なものを使うのはナンセンス!遊びでPCを使うならともかく、基本的にキーボードから指を離したくない人類としてはトラックポイントがなければ仕事にならないのだ。ちなみにPC98時代にはそういういいモノがなかったので、ファミコン風に手元で使えるタイプのパッドコントローラを使ってマウスポインタを移動させていた。いくら90年代とはいえマウスなんか使うわけないだろ!

それはさておき。トラックポイントをマウス代わりに使うためには何らかの方法でボタンをクリックする必要がある。そのためにIBMが開発したもの、それがクリックボタンだ。Thinkpadキーボードのスペースキーの下に3つのボタンが見えると思うが、これを「クリックボタン」という。ちなみにタッチパッドに同じ機能を持たせたものがあるがあれは「クリックパッド」と呼ぶらしい。

このクリックボタン、なにが悩みの元かというと、均等にへたっていかない。マウスと同様に左ボタンのクリック感が失われて行き、やがて押しても反応しなくなる。センターボタンや右ボタンがまだ元気でも左クリックが効かなくってキーボードを交換した人は少なくないはずだ。なぜそうなるのか。

クリックボタンのメンテナンス方法がネットに転がっていないからだ!

実はクリックボタンのメンテナンスはキートップのメンテナンスより簡単だ!なのに簡単すぎるせいか意外に紹介されていない。紹介されていないためにどうやって分解したらいいかわからないし、分解しても組み立てられるかわからないし、分解したところでなんとかなるのかどうかもわからない。仕方ないから中古のキーボードを買って交換する。そんな感じになっていないだろうか。

キーボード交換できるほどのメンテナンス力があるならクリックボタン直す方が簡単!絶対に確実!

クリックボタンは実は2つのパーツで構成されている。「ボタン」「サスペンションゴム」この2つである。キートップが「トップ」「パンタグラフA」「パンタグラフB」「サスペンションゴム」の4パーツが複雑かつ繊細に組み合わさっているのとは対照的な構造と言っても過言ではない。キーボードへの固定はただの「はめ込み」による。パーツを折ってしまわない限り必ず外れるし、必ずはまる。キートップの分解とは全く勝手が違うということを頭においてほしい。クリックボタンのクリック感の劣化はこのうち「サスペンションゴム」のへたりによって生じる不具合であるから、これを交換することで改善することが可能だ。サスペンションゴムの固定はさらに簡単で「固定されていない」ただ載せてあるだけなので交換は自由にできる。

IBMのエンジニアは天才だと改めて思う。

しかし、サスペンションゴムの劣化が原因だとわかり、交換によって改善されることがわかっているとしても、補修部品が手に入らなければどうしようもないではないか。この部品はThinkpad共通ということは決してなく、同じキーボードであれば共通だが、他機種で互換性のないキーボードの部品はサイズも色も違うので流用できない(色は関係ないか)入手が容易なトラックポイントのゴムとはわけが違う。FRU番号を調べてLenovoに注文するのは大げさすぎる。ではどうするか。

修理方針は単純だ。一つのキーボードにつき2個の補修用サスペンションゴムが装備されており、それと交換するのである。それはどこにあるのか。

答え 補修用左ボタンサスペンションゴムはセンターボタンと右ボタンの下にある。

最初に書いた通り、クリックボタンは左クリックがまず死ぬ。右クリック、ましてやセンタークリックはほどんど無劣化で初期状態を維持していることがほとんどだ。だから、使わないボタンのサスペンションゴムと劣化したゴムを入れ替えればいい。3ボタンともに同じクリック感がなければ使用上の問題がある場合はこの限りではないが、ほとんどの場合センターボタンに軽快なクリック感は必要がないはずだ(押しっぱなしで使うものなので)

方針が出たならあとは作業するだけだ。所要時間は3分。

step1 キーボードを本体から外す。2本から4本のねじで止められているのでそれを外してキーボードを外す。外せない場合はそのままでもいいが、センターボタンが分解できないので無理に分解しようとしないこと(破損する)

step2 左右いずれかのクリックボタンの手前側から「めくる」ようにしてハメこみを外す。おおむね2個のツメではまっている。乱暴にせず丁寧に力を入れて「めくるよう」に外す。キートップのように全体を真上に抜くことはできないので必ず「めくる」(無理に真上に引き抜けば奥側のレール部分が必ず破損する)

step3 センターボタンは左右ボタンと上下逆の構造になるため、奥側から手前に持ち上げるようにして外す。この時、センターボタンのレール部分は非常に繊細なので慎重に作業する。また、キーボードを本体から外さずに作業する場合はセンターボタンは外せないのでロックを外して持ち上げるだけにしておく(無理に外そうとしてもタッチパッドが邪魔になって構造的に外れないので必ず破損する。外したければキーボードを本体から外すこと)

この作業、キーボードの天地をひっくり返して作業すると簡単に行く。また、本体からキーボードを外さないで作業するときは、精密ドライバのマイナスの先端などを使って隙間から慎重にめくるようにすること。本当に単純な構造なので必ず外れると信じて作業すること。ただし構造的に間違った力の入れ方をすれば「必ず」破損するので十分に構造を頭に入れてから作業する必要はある。

step4 ボタンを外した後にサスペンションゴムが見えるので、まず劣化した左ボタンのゴムをはずしセンターのゴムと入れ替える。右はそのままとして一度左右ボタンをはめてクリック感を確かめる。しっくりこなければボタンを外して今度はその状態で左右のゴムを入れ替えてみる。ボタンをはめてクリック感を確かめる。それでもしっくりこない場合、サスペンションゴムが上手くはまっていない可能性があるのでボタンを外してゴムの位置を確認する。クリック感に満足したら、左右ボタンを外し、センターに左ボタンのゴムをはめてボタンを戻す(この時、念のためクリック感を確かめて位置ずれがないか確認するが、しょせん劣化したゴムなのであまりクリック感にこだわらないようにする)左右のボタンを元に戻す。センターボタンを最初にはめることさえ守れば左右はどちらが先でもよい。

step5 キーボードを本体に戻す。クリックがきちんとできるかどうかPC上で確認する。

これで完璧。次に左クリックが劣化したら、同じ手順で右ボタンのサスペンションゴムと入れ替える。それもダメになったら、そこがキーボードの寿命だから、中古のキーボードを買って入れ替えよう。中古なので必ず左クリックがへたっているはずだから、組み立てる前にサスペンしションゴムを入れ替えておけば新品同様の左クリック感で使うことができるはず!

だって、ゴム交換でクリック感が復活すること知ってる人、驚くくらいいないから、すべてのゴムを使い切ってる人、まず世の中にいないもん!

というわけで、Thinkpad特有の難問と言われる天板のべたつき、右クリックの劣化は解決できることがわかりました。あと、トラックポイントの使用感の劣化対策ですが、これ、赤ゴムを交換すれば治るし、ネットで4個入り500円くらいで売ってる時代になったから工夫で治す必要なくなっちゃったので省略。

ではまた。