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スマイレージの失速、ももクロの現在

スマイレージももクロは2010年に最も将来を嘱望されたアイドルだった。しかし、スマイレージは人事問題で迷走、2010年当時から一歩も先に進めない状態で足踏み、ももクロはマスメディアを使った拡大路線に乗ることで急速に「アイドル戦国時代」状況からフェードアウトしていく。


この両者の状況の原因は「行き場を失った」ことに起因するように感じる。


スマイレージは大元はしゅごキャラエッグ!として2008年に活動を開始したエッグ選抜ユニットである。リーダ-格は前田憂佳つんく♂傘下ではなく、アップフロントワークスでもない特異な性格を持つユニットであり、「外」を知っているユニットだった。そこから佐保明梨を除いた3名に小川紗季を加えた4名で2009年にインディーズ編成されたのがスマイレージの原型ユニットであるS/mileageだった。ここでリーダーが「主戦派」である和田彩花にスイッチする。エッグの女王様こと前田憂佳はじめての敗北である。


スマイレージというユニットの構造を簡単に説明すると3+1である。しゅごキャラエッグ!出身の3人に小川紗季が相乗りしているという構図。スマイレージ派生ユニットでありしゅごキャラエッグ!の正当後継ユニットでもあったリルっぷりっでも佐保を除いた3人というラインは守られており、かつリーダーは和田彩花という編成になっていた。ここでの和田はエースカラーの赤を与えられるなど最大級の待遇。一方、前田憂佳はサブカラーの青を設定され完全に和田との間に「目に見える」序列を与えられた状態である(福田は紫固定だった) 小川紗季小川紗季で、単独でおはガールメープルの一員として活動していた。従って、スマイレージというユニットはしゅごキャラ!から佐保明梨を除き、前田憂佳から指揮権を奪ったユニットであると定義することが可能であり、まず、小川紗季が抜け、づづいて前田憂佳が抜けた理由というのは、そもそもの成り立ちに起因していたと考えれば筋が通る。小川紗季がいなくなってもしゅごキャラエッグ!であることは揺るぎなく(事務所的にここは「動かせる」枠だった)前田憂佳はエッグ内権力闘争に敗北したが故の退場と考えると自然に説明がつくからだ。


それはともかく、そうやって「和田彩花」のユニットとして編成を固めて行ったスマイレージがここに来て拡大せず、当時のライバルたちに完全に置いていかれてしまっている。CCレモンホールで争った4組のうち、SKEとももクロはそれぞれガイシホール、横アリとアリーナクラスのコンサートを成功させ、ドーム規模のコンサートへと駒を進める。bump.yは低空飛行が続くが、GirlsAwardの前座を務めるなど大規模露出への方向転換を図っている途中だ。スマイレージだけが単独コンサートすらままならない状態で2010年と変わらぬ規模で活動を続けている。この原因は「主戦論」頼みのキャラクター設定にあったと考える。


スマイレージが「外」を見てきたユニットであることは先に述べた。「外」を見たスマイレージは、急速に内向きにシュリンクし、ハロプロ内部のパイの奪い合い以外に何の興味もない当時の娘。以下のユニットにはない「可能性」を持っていた。スマイレージハロプロ内の権力闘争に興味を示さないユニットであり、敵はAKBであることを早期に宣言したユニットだった。その価値はハロプロの他のユニットが「内向き」である限りは失われることがなかったが、高橋愛政権が倒れ、新垣里沙が参謀道重さゆみと共にモベキマス構想をぶち上げると同時に、失効した。前田憂佳モベキマス構想の中では改めてスマイレージのエースとしての待遇を与えられていたが、本人にもうやり直す意思がなかったのか、そのままチームを去った。スマイレージは「主戦論という独自性」と「エース」の2枚看板を同時に失った。モベキマスハロー!プロジェクト全体によるアイドル戦国時代殴りこみ宣言であり、和田彩花らの構想の実現だった。本来モベキマスの中核戦力は実戦経験豊富なスマイレージに来るだろうと当然踏んでいた。しかし。



和田彩花はそもそもハロプロ内での序列や権力構造を無視していた存在である。その和田彩花モベキマス内での知名度なんか「皆無」に決まっている。はっきり言えば平メンバーである。エースは前田憂佳であって、和田彩花ではない。スマイレージモベキマスの中核になる可能性は最初から全くなかった。そもそも、エッグと言う組織自体が、真野恵里菜を除いては、ハロプロ本隊にほとんど関与しない組織であって、そこに異端のように合流したスマイレージハロプロの指揮を取れるわけがない。エッグがキッズ以前のハロプロメンバーからどれくらい「よそ者」扱いされていたかは月刊エンタメで有原栞菜が℃に合流すると聞いたときメンバーが悔しくて泣いたと言う話からも窺い知ることができる。スマイレージをさすがに「よそ者」と見る風潮はハロプロ内にはないと思うが、しかし、序列に組み込まれたスマイレージは「一番下からやり直す」存在であって、今さらながら組織内部で地位を向上させなければ何も出来ない構造の中に組み込まれることになった。そもそも主戦論和田彩花らの提唱であって、しかし、その策がハロプロ本隊に容れられた瞬間に身動きが取れなくなってしまったというこの矛盾。あやちょが「まず℃に勝ちたい」と2周年記念イベントで言ったが、今スマイレージは正にハロプロ内権力闘争に勝ち残らなければならない状況に置かれている。どこまでも和田彩花の状況を見る目は正確だが、それが内向きに振り分けられなければならないがゆえに、スマイレージの足踏みが始まったのではないかと思う。


スマイレージハロプロ遊撃隊であり、ハロプロ全体の戦力とは離れたところで勝手気まま戦い、敵に痛撃を与えては機動力を生かして離脱する。機動力があるがゆえに、少数精鋭でも大規模ユニットと互角以上に戦えるのが魅力であったのだが、現在のハロプロの状況ではそのメリットが十分に生かされているとは言いがたい。ハロプロ主戦論に傾いた現在、スマイレージは独自性を持たない「ハロプロ5番目のユニット」であり、最早何を売りにすればいいのかわからなくなっている状態なのではないか。まさに「行き場を失った」のが丸剤のスアイレージではないかと思う。





ももクロは際限のない規模の拡大の結果、単独で西武ドーム興行を設定できるまでになった。もともと「会いにいけるアイドル」AKBに対して「今会いにいけるアイドル」としてカウンターの存在であったももクロだが、2012年にAKBと同じ「既存メディアに全資源」を投入する展開の結果、規模は拡大したものの、カウンターとしての存在価値を失った。ももクロにAKBのカウンター的な役割を期待していた層は失望売りを始め、急速にファンの入れ替えが起こっている状況だ。

ももクロがメディアに頼る展開に戦術転換した理由は「疲弊の回避」「消耗の回避」ではないかと思われる。めちゃくちゃな数のライブを毎回全開全力で行うことを売り物にしていた頃のももクロは「明日なきアイドルユニット」だった。潰れたらそこで終了。事務所的にあった「この娘たちには将来女優やタレントとしての道があるんだからアイドルごっこを今は全力でやらせておけばイイ」「できなくなったら手仕舞いすればイイ」「真剣にやるほどのことじゃない」と言う意思の裏返しが、毎回全力、毎回全消耗、喉が潰れようと構わない、と言うめちゃくちゃなライブの連続であって、それは間違いなく2011年までのももクロに対する事務所の姿勢の現れであったように思う。しかし、ももクロは変わった。明日のために今日は我慢するユニットになった。


おそらく事務所の方針が「ももクロは一時的なユニット」から「これからもももクロで売る」という方向に変わったのではないかと思うのだが、その結果、ライブに振り向けられていた時間はメディア収録のために回されることになり、それは「消耗の回避」に繋がった。メディア展開はファン層の拡大につながり、ライブの規模の拡大を実現させた。言うことなしの展開であるが、しかしここに来て周辺状況が急速に冷えていく。なぜか。



それは「明日が見えなくなった」からだ。一般的にこれは迷走という。


ももクロは本来タレント事務所であるスターダストのジュニア部門が「ジュニア仕事」として与えた仕事だ。それで売れる必要はあまりない。早見あかりが仕事の方向性の違いから離脱したのもそれが本業ではないからだろう。本業はあくまでもタレント、モデル、女優であって、アイドル仕事はそのカタパルトでしかない。ここまでのももクロもその方向性を堅持しており「長く続けるつもりなら絶対にやらない」消耗戦を圧倒的な勢いで「ヤリ逃げ」してきた。だが、目に見える方向性の転換が、ももクロに与えたイメージは「当分はももクロのまま活動する」という物となった。


ももクロは「いつ終わるかわからない」ヒヤヒヤ感故に「今会いに行かなくては」と思わせるユニットで、一方「ももクロのあとどうなるのか」期待感を抱かせるユニットだった。だが、それは過去のものとなり「今会いに行かなくてもTVで見たらそれで済む」「ももクロはしばらくももクロのままだろう」というユニットに変化した。これは初期のウリである「今、会えるアイドル」の終焉であり「明日もあさってもおそらくは数年後も会えるアイドル」への転換だった。


ももクロの明日は現在と同じであることが確定することで、明日は全く見えなくなった。ももクロはいつ終わるのかわからず、従って、例えば夏菜子が女優となり朝の連ドラ主役になるという期待もなくなった。ももクロは明日を失った。もうどこにも行き場がない。現在の地点で足踏みをしたまま際限なく規模を肥大しつづける。それが現在のももいろクローバーZの状況ではないのかと思う。AKBが落ちてくるこの状況下でこの足踏みは痛い。最悪、風船がはじけてあっという間の失速もありうる状況だ。そうなれば、もう女優への転身もへったくれもないだろう。待っているのは「解散→引退」商法への一本道だ。そういう状況にももクロはいる。


2010年に大きな期待をされた2つのユニットの現状は「足踏み」というところに共通点を見る。それは「初期の売り物」が状況の変化によって使えなくなった一方、それに変わる「売り物」が見つからないまま惰性で動き続けているところに原因があるように思う、曲がりなりにも動いているので外側からは気づきにくいのだが、両ユニット共に実はエンジンが止まっている。惰性を完全に失った時に、慌ててエンジンを再起動させても間に合わないのは過去のアイドル事例がそれを証明している(たとえばピンクレディ) 動いている今がもう一度エンジンに火をつける最後のチャンスであるように思う。


果たして、もう一度、ギラギラした状況が彼らに戻ってくることがあるのだろうか。