スケバン刑事/出陣のテーマ~白い炎
スケバン刑事の企画はでっち上げだった。前番組「テレビおばけてれもんじゃ」が記録的な低視聴率のためあっという間に打ちきりになり、その穴埋め番組として急遽企画された。予算なく、練り込みなく、そして製作期間もない。ないないづくしの体制の中で瓢箪から駒で生まれたヒット、それがこの最初のスケバン刑事だった。
番組の初期、サキが敵地に赴くシーンで必ずこの「出陣のテーマ」(脚本では「サキのテーマ」と表記)が流れる長尺の「歩き」のシーンが挟まれるが、これ、ただの尺合わせであるw 毎回毎回同じ劇伴が流れるのも狙ったわけではなくて、予算がなくて曲数が作れなかったためだ。新田一郎は「だったら一回聞けばスケバン刑事とわかるような特徴的な曲を書こうと思った」と語っている。EDも非常にカット数が少なくヤッツケで作られたことがわかるような出来。しかし、玉置浩二の曲はこれがまた最高にカッコよかった。
続くスケバン刑事IIはIの打ち切り(斉藤由貴のスケジュールを押さえれなくなった)に伴い、また急遽でっち上げられた異色作。当時人気を博していたおニャン子クラブから吉沢秋絵だけ引き抜き(ビジュアル的には斉藤由貴のスピンオフになっている)、残りは全く無関係にキャスティングしてきたのが企画の無理無理さを感じさせる。スケバン刑事Iが水戸黄門+必殺仕事人+非情のライセンスだとすると、こちらは快傑ズバット+ゴレンジャー+水滸伝というライン。
用心棒との対決シーンは紛う事なきスバットの遺伝子。その後に続く真俯瞰で敵要塞にに突入するアクションシーンの手抜きの無い凄さはゴレンジャーの遺伝子。当時、男児向けアクションものでさえこんなカッコイイアクションは見ることができなかった。戦闘シーンに挿入歌がかかるのもポイントが高い。
ちなみに置物のように思われがちな鉄仮面、これは一応標準装備である。劇中いろいろな使われ方もしたが「ズバットのように正体を隠す必要がない」(単独ヒーローでもないし)「かっこわるい」「本来はスタンドインにかぶらせてアクションをさせるはずだったが、あんまり意味がなかった」とかいう理由で途中でどうでも良くなったらしい。
どうでもいいが、この3人のビジュアル、同時代の「聖子ちゃんカット」的な流行と無縁であるところが素晴らしい。相楽晴子のビジュアルイメージはズバリNewWaveだろう。
再び斉藤由貴版。
スケバン刑事/後期OP&ED
横浜ロケらしいきちんと撮られた夏服版ED。よくよく見てみるとおそらく小林義明の仕事と思われ。