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行く先不明のパソコンblog

JAPONESQUE/倖田來未(avex)

JAPONESQUE(CD)

JAPONESQUE(CD)

全19曲。聞いても聞いても終わらないある種「ホワイトアルバム」を彷彿とさせる詰め込み盤。CDって72分入るんだなぁって、改めて思った。


今回のアルバムの最大の売りはシングル曲を極限して徹底的に書きおろし曲を詰め込んだ点にある。かつてJ-POPのアルバムはシングルを買うほどはアーティストに興味のない「カジュアル」なファンが、シングルをまとめて買うよりもお買い得だからアルバムを買う、という購買行動を想定してシングル曲を大量に詰め込む傾向にあった。その結果、リスナーは「どうせアルバムに入るから」とシングルを買わなくなり、シングル市場は死滅することになった。別に日本に限ったことではなく、アメリカでも80年代末にシングル市場は死滅したし、UKでも90年代末にはシングル市場は死滅した。今、同じシングルなのに複数種類出してアイテム数を増加させる手法をどのレコ社も行なっているが、元々は90年代初頭のUKシングル市場がその(手法的な)源流と言われている。結局、どうやってもシングル市場は死滅してしまうのだ。


我が国において、そうやってシングル市場が死滅していったことで何が起こったかといえばJ-POPの地盤沈下である。シングル市場の死滅は「カジュアル」なファンの死滅を呼んだ。売れていない、見た事も聞いたこともない、シングル曲の詰まったアルバムはそもそも魅力がないのだ。カジュアル層はアルバムを当てにしてシングルから離れ、その結果、アルバムからも離れて行った。残された「ノンカジュアル」なファンにとって「全部持っている」シングル曲ばかりが詰まった「アルバム」は数曲だけの新曲を目当てに買うには高価過ぎるアイテムであって、結果として「ノンカジュアル」なファンのアルバム離れが加速した。結果として「誰もいなくなった」のが2012年におけるJ-POP市場の現状であるといえるだろう。



今回、倖田來未のスタッフが書きおろし曲重視、シングル曲軽視のアルバム構成を採用した理由は、一つにはこの「ノンカジュアルなファン」をこれ以上手放したくないという切実な状況がその背景にあるのだろうと考える。現状は外野が考えるよりもより切羽詰まっており、もはやどこにいるのかさえ定かでない「カジュアル」なファンを頼みには出来ない所まで来ているのだろう。そしてもうひとつは、シングル曲の単売はすでにパッケージメディアではなく配信(着うた)市場での戦いに状況が移行しているという現実もあるのではないかと思う。さらには、アルバムで増やした新曲は「まとめ買い」以外のバラ売りでノアイテム数の増加につながるため商売として「正」の要素足りうるという判断が働いたことお考えられる。アルバム書きおろし曲数曲というアルバムは配信上のバラ売りアイテムの増加に繋がらず、せっかくのアルバム予算の無駄遣いに繋がるからである。


そうやって状況とともに合わせてこのアルバムを眺めてみると、このアルバムの書きおろし曲数の多さには意味があり意思があることが感じ取れる。それが苦し紛れのやけっぱちな自爆路線なのか、まだ余力があるうちにそろそろ方向を転換しておきたいという積極策なのかはよくわからないが、いずれにせよ注目すべき姿勢であるように思えた。



おすすめ度。。。☆☆(長いだけじゃない。似たような曲が重複。コンペの候補曲集じゃないんだからどうにかならなかったのかこれ。POP DiVA的な方向も垣間見られるが全体としてはおとなしめの曲が多い。そこいらへんは実はDrivin'Mixに入ってるという話もあって肩透かしを食らった印象。どこへ行きたいのかは実はいまいち不明なのがこのアルバムだったと思う。尺は半分でぴりっとした次回作に期待したい。長かった。。。)

Koda Kumi Driving Hit's 4

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