コミケでリリウムの薄い本が買いたかった。。。
ep9 噂の二人
カトレアは竜胆の秘密を握っていた。それは、紫蘭への秘めたる愛。繭期の少女にとってそれは残酷すぎるほどの辛い感情。ウルによって止められた時間。潔癖症故に自らの肉体の目覚めをも拒む心。だが、紫蘭に優しくされればされるほど、竜胆の切なさははちきれそうになっていく。心も、カラダも。
女子寮。誰も使っていない客間。誰かがもつれ合っている気配がする。廊下を通りすがったミモザは鍵のかかっているべき部屋の扉が開いていることに気づく。ドアを開けて中を覗くがはっとして「ごめんなさい、わたし、何も見ませんでした!」一礼して走り去っていく。ゆっくりと起き上がるカトレア「あ~あ、見られちゃったわ。あの子、きっとみんなに言いふらすわね」床の上、糸の切れた操り人形のように横たわっている竜胆。乱れた着衣。頬に涙の乾いた痕「まあいいわ。じゃ、続きをしましょう」ドアに鍵をかけるでもなく竜胆に覆いかぶさるカトレア。竜胆の唇がゆっくりと開き、やがて、荒い息とともに咽び泣きが聞こえてくる。
監督生室。風紀が乱れていると紫蘭は言う。これは由々しき事態だ。伝統あるこのクランで純潔を守れないなどということがあってはならんのだ!どんっと教卓を叩く紫蘭。呼び出しを食らっているファルス、キャメリア、シルベチカ、そしてリリー。まあしかたないじゃないか男と女だし、とファルス。貴様には監督生としての責任感はないのかっ!と胸ぐらをつかむ紫蘭。お館様に許可を得れば、清い男女の交際ならオーケーのはずだよ紫蘭、とキャメリア。「そんな許可、この50年の間に1件も出ておらんわこのタワケモノが!」「よいか、純潔を守れない者は強制中退だぞ!この伝統あるクランでもっとも恥ずかしいことなのだ!」「監督生とその彼女が強制中退など恥ずかしくって世間様に顔向けできんわ!」
やっと解放された4人。あれは繭期のヒステリーだよなとファルス。「それにしても潔癖症のお姫様、ずっと黙ってたな」「誰?」「竜胆だよ」「そんなあだ名なのか彼女」「あのね、ファルス」リリーが申し訳なさそうに切り出す「よしなよリリー」「でも。やっぱり」シルベチカがリリーを止めようとして揉め始める「どうしたの?」「竜胆に、悪いうわさが立ってるんだよね?」「噂?」「竜胆って、実は潔癖症じゃなくって、女の子が好きなんじゃないかって」「へー、君、信じてるのかいその噂」「わたしは信じてないけど、そういう噂を流している人がいるの」「君みたいにか」「よせよファルス」ファルスの繭期から来る「小さな正義感」の暴走を感じたキャメリアはファルスを止めに入る。だが、ファルスは止まらずとうとう泣き出してしまうリリー。
「君たちはいつも喧嘩ばかりだな」ため息をつくキャメリア「だめなんだよ。感情が抑えられないんだ。彼女の言葉の一つ一つが、僕の心を上がったり下がったりさせる。抑え、きれないんだ」「君、他人に対してやけに大人ぶった態度をとるけど、そういう所は実に繭期だね」「悪かったな歳相応で」「嫌いじゃないさ。むしろ安心する」「安心ってなんだよ」「悪い意味じゃないのさ、勘弁してよ」
「ウルが効いてよかったな」「前のクランにいた時のようにはならないさ。今度こそうまくやる」「人並みで行こうよ」「そうだ、僕は人並でいいんだ」
「それで交際の件なんだけど」「僕はお館様に正式に許可を求めるつもりだ。シルベチカを幸せにしたい。ファルス、君はどうする?」キャメリアの傍らでじっとしているシルベチカ。離れたところで泣きじゃくっているリリー。
病室。病床のファルス。僕はいったいどうしたらいい。スノウが梨の皮を剥いている。あなたは本当に繭期の坊やなのねとスノウ。なんせ永遠の繭期が売りなんでね。窓の外。竜胆が思いつめたような表情で中庭を横切って行く。皮を剥く手が止まっているスノウ。「面白いね」「なにが」「君が自分以外の他人に興味をもつのを久しぶりに見たよ」「何の話」「竜胆さ。彼女が黙って通りすぎた時、君の表情が変わった」「おかしなことをいわないで」「高潔で冷徹で無愛想でとても孤独でまるでなにかを諦めたみたいにどこか哀しげな女の子」「なによそれ」「君の評判さ」「失礼ね」「正直ボクも似たようなことを思ってた。でも違うんだな。まるで、昔が君に戻ったようだ」「私は何も変わっていないわ」
「ただ、心が死んでしまっただけ」
「まだくたばっちゃいないさ。君の心は、君が思っている以上にタフそうだよ」「よしてよ、ほっといて」「わかった、竜胆のことは君に任す。僕の事は僕が解決する」「勝手に決めないで!」「ちょっとそこの引き出しを開けてみてもらえないか」中に入っている真新しい監督生の服。そして監督生バッジ「君のだ」「今日からしばらく、君に監督生の権限を与える。久々に現場復帰してくれ。ベテラン監督生のスノウさん」「私は監督生に戻るなんて望んでない!」大きな声を出したスノウに驚く中庭の寮生たち。ファルス、若干苦しげに「すまないが、僕も真剣に病人をやっているんで、大きな声は謹んでもらえるとありがたいな」「卑怯よあなた」「まず、君は竜胆について、このイヤラシイ噂の出処を突き止めるんだ。そして、彼女を守る。悪くないだろ条件としては」「あなた勝手よ!いつもすぐにそうやって」「時間がないんだ。僕には。もうそろそろ時間が」ファルスは言った「もう一つ頼みがある」「こっちはプライベートな頼みだ」「君の血を少し預かりたい。理由は、ご承知の通り」「ウル?」「察しがいい」「ウルの改良は禁じられているのよ?」「だが、このままじゃ遠からずみんな死ぬ。僕はそんなことだけは絶対に嫌だ。嫌なんだよスノウ」
食堂。集められた寮生たち。ざわついている。監督生の制服とバッジを付けたスノウが無愛想に突っ立っている。「というわけで今日から暫くの間、ファルスの代理としてスノウが監督生に加わる。みんな言うことをよく聞くように」キャメリアがスノウに挨拶を促す「ないわ」「挨拶することなんてない」「無いってっことはないだろ君」「儀礼的なもので構わないんだ、頼むよ」スノウはいやいや歩み出ると「監督生のスノウよ。よろしく」と異常なまでにぶっきらぼうに言った。さらにざわつく寮生たち「君はもう少し社交性とかを磨いたほうがいい」「仮にも監督生なんだぞ君は」キャメリアがさすがに苦言を呈する。その傍らで、思いつめたような表情のまま無言で俯いている竜胆。竜胆を見てなにかヒソヒソ話している少女たち。小さく指を指しているものもいる。その中でニヤニヤ笑っているカトレア。
監督生バッジを与えられたスノウはカトレアを問い詰めるが、竜胆との関係についての事実を認めた上で「このことをみんなの前でバラしてもいいのかしら?」と逆に脅しをかけてくるカトレア。カトレアの命令で紫蘭の目の前で屈辱的な行動を取らされる竜胆「どうかしてしまったんじゃないか?」監督生室で竜胆の真意を問いただす紫蘭。ナスターシャムに呼び出された竜胆はカトレアの元に行こうとするが紫蘭は行くな!と言う。竜胆は秘密を守るためにカトレアの命令に従う。純潔性に疑いがあるとして監督生バッジを外させられる竜胆。スノウは紫蘭から竜胆の何を調べているのだ!と詰め寄られる。あなた達は本当にめんどくさいわね。。。と言うスノウ。竜胆を抱きながら私はあなたを独り占めしたいのよ紫蘭なんかに渡さないわというカトレア。紫蘭に危害は加えないでと怯えながら言う竜胆。紫蘭にもクランにいられなくなるくらい恥ずかしいことさせようよとカトレアに言うナスターシャム。面白いわねそれと言うカトレア。竜胆は剣を抜いてカトレアに斬りかかるが相手にならず、明日の寮生集会の時に、壇上で股を開いて男子生徒の前で中身を拡げてくれたら紫蘭にはなにもしないって約束してあげてもいいわよと言われる。嫌なら好きにしたらいいけど、私、ついカッとなってアナタが紫蘭に恋をしてるって、みんなに言いふらして回っちゃうかもしれないわ?いいの?、と。
ふらふらと放心したままクランの廊下を歩いて行く竜胆。はだけた胸、泣き腫らした目。寮生たちがヒソヒソとなにか話しているのが聞こえる。竜胆は自室に戻ると発作的に自殺を試みるが、スノウに止められる。死なせて、このままじゃ私のせいで紫蘭まで後ろ指差されることになってしまうそれだけは絶対に嫌と言う竜胆。紫蘭のことが好きなのね、とスノウ。図星を指され、否定することすら忘れてスノウにすべてを告白する竜胆。
「お願い、絶対にこの事を紫蘭に言わないで!」「ずっと好きなの」「クランではじめて会った時から紫蘭のことが好きなの。女の子同士なのに気持ちを抑えきれないの。本当は一緒になりたいの。紫蘭と一緒になりたいの。。。」と言って泣き崩れる竜胆。カトレアは竜胆の仕草から紫蘭への思いに気づき、それをネタに脅して無理やり「関係」を結んだ。話はなんとなく理解できたけどカトレアの動機がわからないねという安楽椅子探偵ファルス。動機は本人に直接聞くわとスノウ。餌は「わたし」と。
寮生の集会。壇上で寮生に訓示を垂れる監督生たち。だが、寮生の視線は竜胆に注がれている。まるで露出狂のようにサイズがあからさまに小さい制服に身を包んだ竜胆。むっちりと浮き上がるそのはちきれんばかりのボディライン。女子は嫌悪の目を男子は好奇の目を竜胆の胸に注ぐ。竜胆はそのままの姿で壇上に上がるが、真っ赤な顔で俯いたまま何も言わない。ニヤニヤ笑いながらその姿を見ているカトレア、ナスターシャム。異変を感じて竜胆に近寄ろうとする紫蘭を止めるスノウ。竜胆は、消え入るような声で「私は、罪深い女の子です。皆さんに罰してもらいたいと思っています」と言い始めた。「どんな罪なの?」「言葉だけじゃわかんなーい!」野次を飛ばすカトレア。「これから、私のすることをよく見てください。それから、わたしを罰したいと思った人は」「わたしの前に1列に並んで、順番に私を罰してください」ざわつく男子生徒たち。「なにをする気なのだ!よさないか竜胆!」紫蘭が叫ぶ。竜胆はすすり泣きながらスカートをたくしあげ、その格好のまま壇上に尻をついて大きく脚を広げた。男子生徒達の視線がその奥に吸い込まれていく。誰かがゴクリと生唾を飲み込む音が聞こえた。竜胆はしゃくりあげるように泣きながら、指で逆V字を作ってその部分に近づけていく。
「もういいわ。ここまでよ」スノウが自分の上着を竜胆の下半身にかける。チッと舌打ちの音が消えた。スノウはその方向を睨みつけた。カトレアと目が合うスノウ。スノウはためらうこと無く寮生を割ってカトレアに向かって歩き始めた。なによ、わたしが何かしたっていうの?とうそぶくカトレア。これはあなたの差し金だわ!はっきりと断言するスノウ。「なんですって?なんの証拠があってそんなことを言うの?」「証拠はないわ」「証拠もなしになぜそんなことが言えるの!?」「監督生権限であなたを懲罰房送りとします」「ふざけないで!監督生だからって言いがかりつけて良いわけがないわ!」「言いがかりではないわ」「言いがかりよ!」スノウは挑戦的に笑うと「ではこういうのはどうかしら?あなたの好きな方法で勝負しましょう」「勝負?」「負けたほうが相手の言い分を認めるのよ」「言いがかりをつけたってことを認めるっていうことかしら?」「竜胆にイヤラシイ行いをするように命じたことを認めてもらうわ」睨み合う2人「それじゃ足りない」カトレアが言った「私が勝ったら、スノウにはお詫びとしてさっき竜胆がやろうとしたことの続きをやってもらおうかしら」「構わないわ。なんだったら、男子に1列に並んでもらって、私のことを存分に罰してもらうというのはどう?」「時間は30分後。勝負は剣で。中庭で待っているわ」「カトレア、逃げてもいいのよ?」カトレアは顔を紅潮させながら寮に向かって行く。ナスターシャムが落ち着かせようとするが耳に入っていない。キャメリアが病室の窓から見物しているファルスに耳打ちする。カトレアは昨年のクランフェスタの優勝者だ!君が負けたハイドランジアに彼女は勝ってる!こんな勝負させていいのか!?「別に僕は負けてないけどな」「スノウにはスノウなりの勝算があるんだろ」「この件は彼女に任せてるんだ、僕達は黙って見守ろう」
中庭。霧雨の降る中、ナスターシャムの用意した剣を構えるスノウとカトレア。明らかにカトレアの剣のほうが長い。見守る生徒たち。スノウが言う「あなたが負けたら、あなたが開いてくれるのかしら?」「股でもなんでも開いてあげるわ。負けたらね」「開くのは口だけでいいのよ。股はお好きな様に」戦いが始まった。互格以上の剣さばきでカトレアを追い詰めていくスノウ。こんなはずじゃ。。。カトレアに浮かぶ焦りの色。足を滑らせて水たまりの中に倒れこむカトレア。私はこんなところで負けているわけには行かないのよ!叫ぶカトレア「スノウは監督生を辞めるまではこのクランの剣術師範をやっていたほどの腕前さ」「彼女、なんで監督生をやめたんだ?」「そうか、君はまだいなかったけな。このクランでちょっとした事件があったんだよ」「男子寮の監督生が一人死んだ」「バカな奴だよ。彼女だけ残して勝手に逝っちまいやがった」「みんな死んだヤツのことはすぐに忘れてしまった。スノウを除いてはね」「それが、たまらなく嫌だったんだそうだ」「こんな奴らのためにあの人は死んだのかって。ある日、バッジを叩きつけて監督生室を出て行った」「それっきり」
カトレアの剣を跳ね飛ばし首元に切っ先を突きつけるスノウ。「あなたの負けよ、カトレア」カトレアは悔しさに震えている。「あなたの口から寮生に何もかも話してもらうというのは止めにするわ。その代わり二度とクランの中で揉め事を犯さないこと、明日から一週間懲罰房に入ること。この2つを命じます」ファルスがお疲れ様と言いながらやってくる。気を緩めるスノウ。隠し持った短剣で背後から斬りかかるカトレア。スノウは剣で防ぐが大剣を手にしたナスターシャムが突撃してくる。2対1。「もう勝負はついたはずよカトレア!」「まだよ、まだ私は負けちゃいないわ!」「ならそろそろ、ここの茶番の意味を教えて」「あんたたち気に入らないのよ!」カトレアは悲痛に叫んだ「お館様のお気に入りだがなんだか知らないけど、いつも偉そうな顔をして」「だからめちゃめちゃにしてやろうと思ったの。あなたたちも、このクランも!」「言ってることがめちゃくちゃだわ。少し繭期が重すぎはしない?」
カトレアは自分の繭期は重くないという「弟に家を継がせるためにここに閉じ込められている。私はなにもかも優秀なの。両親は私が女だから邪魔になったのよ!だからここであの人たちを見返して家を継ぐのにふさわしいのは私であることを見せつけてやるの!」「それこそ繭期の妄想ね」とスノウ。そんなことのために竜胆を傷つけたの?許せない。スノウの表情から余裕の笑みが消えた。ファルスはキャメリアに止めに入れという。キャメリアは冗談じゃないよ!そんなことできるかい!というが「スノウに繭期の徴候が出てる」「本当に殺してしまうかもしれない」「スノウは他人との距離が上手く取れないんだ。だからいつも一線を引いているだろ?」「そんなところまで昔に戻らなくてもいいのにな」「のんきなこと言ってる場合か!」
ナスターシャム、大柄の剣を力任せに振り回す。スノウは難なくかわすがそのタイミングで仕掛けてくるカトレア。スノウが一瞬苛立つ。スノウ、ナスターシャムの剣を受けるが反応が一瞬遅れた分捌ききれず受けたままひっくり返る。上からザクザクと突いてくるナスターシャム。泥の中を転がって避けるスノウ。竜胆を抱きしめる紫蘭。スノウの危機に剣を取ろうとする紫蘭。抱きしめまたまま行かせない竜胆。スノウ、仰向けになってナスターシャムの剣を受けるがその手を蹴り飛ばすナスターシャム。弾かれた剣が飛んで行く。一気に上から突く。ザクッとナスターシャムの剣がスノウの制服ごと地面に沈み込む。カトレア、満面の笑み。剣はスカート越しに刺さっておりスノウの身体を貫いてはいないが釘付けになって動けない。ゆっくりとやってくるカトレア。さあ、約束通り股を開いてもらうわよ。美人監督生さん?スノウ、蹴飛ばされた剣の位置を確認すると、ナスターシャムの剣で自分のスカートを縦に裂いて脱出する。露わになる白い脚。「剣が抜けない!」カトレアに向けて叫ぶナスターシャム。再び1対1。ナスターシャムに再反撃される前にカトレアを先んじて殺そうとするスノウ。ファルスが手近にあった石ころを投げて頸動脈を狙ったスノウの切っ先を弾いた。
「いい加減にしろ!もういいだろ!」「君の役割はカトレアを殺すことじゃない!」それでも剣を捨てないスノウを腕尽くで止めに入るファルスたち。カトレアはすでに戦意を失っている。君の負けだ。キャメリアが言う「いいわ、好きにして。どうせあなたも私を女としか見ていなんでしょ」剣を捨て、スカーフを外し、胸元のボタンを外していくカトレア「そんな必要はない」手で止めるキャメリア「君は君らしく生きたらいいさ」カトレアはそのまま泣きだした。
ファルスに監督生のバッジを返すというスノウ。いや、君に女子寮の監督生筆頭を任せたいというファルス。キャメリアも頷く。ゆくゆくはクランの総監を頼みたいと思っている。あなたはどうするのファルス。「たぶんその時、僕はもうクランにはいない」スノウはぎこちなく「冗談じゃないわ」とつぶやく。私はもう誰とも関わりたくないのよ。
乱れた服を整えた竜胆。スノウ、私は。。。紫蘭から隠すように竜胆に接するスノウ。その心の優しさ。
スノウ、優しく竜胆を抱きしめて「だいじょうぶよ」「なにも恐れることはないわ」「だいじょうぶ、だいじょうぶ」「みんなここにいるわ」「だいじょうぶ」紫蘭、その姿を見てもやはり状況が全くつかめない。
カトレア、泣きじゃくりながら寮に帰っていく。その横でカトレアをからかいながら歩いて行くナスターシャム。カトレア、泣きながらなにやら怒っている。ナスターシャム、さり気なくカトレアの手を握る。あれ?その意外な行動に首を傾げるファルスたち。ナスターシャム、一瞬だけこちらを見る。その、イタズラっぽい目。カトレアの頭をポンポンと叩きながら消えていく。
「なるほど」「僕もわかったよ」とキャメリア「あれが、噂の二人だ」「竜胆はダミーだったのか」
雨の降る中庭で、男たちはその2人をあっけにとられた顔で見送る。
(つづく)
この後に、ファルスが病で亡くなる「いつか陽の差すところに」が入る。そして、ep11 「輪廻のウロボロス」に向かう。