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新春例のアレ大会

18話 君のために

18話 君のために

オダマキの病室。激しく咳き込むオダマキ。咳に血が混じっている。「あなた、もう長くはないのね」リコリスが部屋に入ってきた。手に忘れな草の花束。

「死ぬ前に、愛する人を幸せにする方法があるとしたら、どうしますか?」冷たく微笑むリコリス

懲罰室からマリーゴールドが出てくる。理由はオダマキを巡りローズと諍いを起こしたこと。マリーゴールドは二度とこのような事のないように。たとえ外部の者であっても純潔の誓いを守れないのなら、と、スノウ。わかってるわ、でも、あなたは随分変わってしまったのねとマリーゴールド。まるで竜胆を見ているようだと。スノウはいなくなったあの子の分も私は、と答える。

「ここはいつから修道院になったわけ?」「私はTRUMPを信じているけど、TRUMPと一生添い遂げる自信はないわよ」「価値観の違いね」

「なぜTRUMPを信じないの?」「TRUMPなんていないから」

「あまり紫蘭に心配をかけないで。紫蘭は今ファルスのことだけで頭が一杯なのよ」マリーゴールドは了解とだけ言って懲罰房から出て行った。

監督室。ファルスの死期が近づいたことに苦悩する紫蘭。ドアがノックされ入ってくるリコリスリコリスはTRUMPならファルスに永遠の命を授けることができるという。リコリスは秘密の儀式を行いTRUMPを召喚するのだという。そして、噛んでもらう。そんなのは世迷い事だと吐き捨てる紫蘭。気が変わったら私の部屋にいらっしゃいというリコリス

「それより、お前一体誰だい!」「勿忘草」笑いながら出て行くリコリス

入れ替わりで部屋に入るスノウだが紫蘭リコリスと会ったことを忘れてしまっている。

食堂。カトレアがマリーゴールドに「オダマキは新しく入ってきた女の子には誰でも優しい」と説明する。あなたは騙されてるのよとナスターシャムまでが言う。オダマキは手当たり次第に女の子に手を出すので男子生徒たちの恨みを買っているとヒマワリ。あのシルベチカさんも捨てられた1人だって聞いたと言うクレマチス

「別に、オダマキさんに転がされている自覚はないんですが、まぁ、気をつけます」急に人気者になってしまい居心地が悪そうなマリーゴールド。そこにローズを伴ってオダマキが入ってくる。あ、と立ち上がろうとするマリーゴールドを止めるカトレアたち。ローズが気づいて睨んでくる。オダマキは辛そうにしている。

「昨日も血を吐いたって」「あれはもう長くないんじゃね?」カトレアたちが囁き合う。

不良クラン生のグループが食堂に入ってくる。オダマキを見つけて下卑た言葉でからかい始める。まだ生きてたよこの死に損ない!お前が死んだらローズは俺達が歓ばせてやるから安心して死ね、口々にオダマキを罵る不良たち。マリーゴールドは憤りを覚えるが、あの中にはオダマキに捨てられておかしくなった女の子の彼氏もいるんだよ、と、強い口調で止めるナスターシャム。

「そげなことしたら、お前たちただじゃ済まさんけん」と言うオダマキ。お前、自分が死んだあとに俺たちをどうするっていうんだよ?と嘲笑う不良。そんな死に損ないほっといて俺達と楽しもうぜとローズの腕を強引に掴んで連れて行こうとする不良たち。オダマキは止めようと不良に殴りかかるが咳き込み始め、吐血する。ローズの悲鳴。そんな死に損ないはほっといて俺達と楽しもうぜという不良グループ。あたしたちに構わないでおくれと言うローズだが、ローズちゃんが俺たちの言うことを聞くならオダマキには手を出さないと約束してやるよと言う不良のリーダー。下卑た目でローズのカラダを眺めている不良たち。行かんでよかとよ…絞りだすような声でローズを止めるオダマキ。だが、更に咳き込み、血を吐く。

「わかったよ。わかったからこの人には乱暴しないで」立ち上がるローズ。ローズは不良たちに手をとられると、男子寮の方に連れて行かれれる。テーブルを飛び出してオダマキのところへ向かうマリーゴールド

「ローズは?」「あの生徒たちと一緒に行った」「助けに行くけんね」起き上がろうとするオダマキだがもうそんな力は残っていない。ヒマワリたちが担架を持ってやってくる。マリーゴールドがついていこうとするが「純潔の誓い」と声がする。スノウとキャメリアが立っていた。

「あなたは監督生ではないんだからこれ以上の手出しは無用よ」「この件については僕らがきちんと対応する」その官僚的な口調。カトレアはカチンと来て「なにこの人たち、機械みたい」と聞えよがしにいう。遠巻きに見守る生徒たちに「午後の授業はどうしたの?早く部屋に戻って準備をなさい!」高圧的な口調で解散を命じるスノウ。

「氷のような女。だからスノウと名乗ったんでしたっけ」マリーゴールドがスノウに声をかけた。スノウは無視して監督生室に向かった。

上級生の教室。紫蘭がヴァンプの歴史を説いている。ローズの席は空いている。下級生の教室ではスノウが純潔について熱心に説いている。窓の下をふらふらと歩いているローズが目に入る。乱れた着衣。涙の痕。授業にも出ずにどこで何をしていたの?スノウが現れて問い詰める。オダマキがまた血を吐いて。。。言葉少なに話すローズ。スノウはローズを部屋に連れ込んだ不良たちの名を1人づつ挙げると「オダマキだけでは飽き足らなくなったのかしら?」となじる。ローズは自分はあいつらに無理やり、と言おうとするが「純潔の誓いを守れないなら、たとえどちらに非があってもこのクランから出て行ってもらうことになるから」と突き放すスノウ。その言葉を聞いて放心したように涙を流すローズ。

夜。オダマキに付き添うローズ。シルベチカが門限までにに部屋を出ること、と言い残して出て行く。入れ替わりでリコリスが現れ「TRUMPなら彼の命を救える」と囁く。

「ローズが私たちの仲間になれば」「秘密の儀式に参加させてあげられるの」「TRUMPを呼ぶ儀式よ」

もしそれで本当にオダマキの命が救えるなら。嵐の日、秘密の儀式に参加するローズ。頭からすっぽり覆う覆面を被った参加者たち。奇妙なお題目を唱えさせられたあと、TRUMPに自らの純潔のすべてを捧げることを誓うローズ。ローズの衣服が剥ぎ取られ祭壇に横たえられる。クスリを口に含ませられそれを飲み込むローズ。参加者がローズの前に一列に並び「儀式」がはじまる。ローズの小さな喘ぎが聞こえる。

儀式の最中、リコリスがローズの顔を覗き込んで、言う「ねえローズ、あなた、本当の名前を思い出して?」

ローズは、かつて自分はローズではなかったことを思い出す。儀式は頂点を迎えた。

監督生室。紫蘭が新聞の切り抜きをメンバーに見せている。心臓を繰り抜かれた奇怪な殺人事件の記事が並ぶ。マリーゴールドが地図に現場の位置をピンで留めていく。最後にマッチ箱で「クランは、ここ」と示す。事件は街道沿いに起きており、クランはそのちょうど中間。クランの中に殺人鬼が潜んでいることに気づくスノウ。だが、誰が。

夜、クラン生には不似合いな商売女のようなドレスを纏ったローズがふらふらとクランから出て森のなかに消えていく。寮内を見回り中のスノウは戻ってきたローズを見咎める。ローズから漂う奇妙な色香。男を誘う匂い。「どこへ行ってたの?」「夜風に当たりに」「気持よかった?」軽蔑した目でローズを見るスノウ。「はい」言葉少なに答えるローズ。「純潔の誓い、守れないなら守れないと言えばいいのに」

スノウはそれだけ言うと離れてゆく。ローズは握りしめたこぶしをブルブルと震わせている。

クランにオダマキ向けの荷物が届く。それを受け取り、使いの者に金を渡すローズ。スノウは金の出所を疑うが紫蘭にあまりクラン生のプライベートに立ち入るなと釘を差される。長い筒のような重たい荷物と、やはりズシリと重い紙の箱。オダマキはこれで準備は全部揃ったといい、ローズに今までありがとうという。なに言ってるんだい、あたしたちこれからもずっと一緒だよ、このクランでずっと一緒に生きていくんだよと言うローズ。オダマキは、ローズにもうひとつ欲しい物があると言う。ここでは手に入らないクスリ。それを買ってきて欲しいと頼むオダマキ。ローズはオダマキのそばを一日でも離れたくないというが、どうしても必要なことじゃけん、これはローズにしか頼めんことなんよ、と優しく言った。

ローズはオダマキのために薬を買いに行きたいと願い出る。どうということもないクスリ。こんなものは出入りの商人に頼めばいいという紫蘭だが、ローズはオダマキのたっての頼みでどうしても叶えさせてやりたいという。スノウはローズが外に出る目的を疑うが、マリーゴールドとカトレアを同行させることを条件に「村」に行くことを許す。マリーゴールドオダマキの件があってローズと一緒は気まずいという。仲直りするチャンスだからとカトレア。馬車が呼ばれ3人は街道を村へと下っていく。

「クラン生を外に出すなんて前代未聞よ」とスノウ。どうしてお前はローズのことをそんなに嫌うんだいと言う紫蘭。あの子はカラダを売ってるとストレートに答えるスノウ。汚らわしい。純潔の誓いが聞いて呆れる。オダマキ、あんな子と一緒にさせるくらいならマリーゴールドの恋を応援するわとスノウ。そっちかい、やれやれと紫蘭。その時銃声が響いた。ぎょっとするスノウと紫蘭。窓の外、血相を変えたキャメリアと男子生徒が飛び出していくのが見える。更に銃声。シルベチカが叫びながら部屋に駆け込んでくる「オダマキが!オダマキがおかしくなってみんなを!」

中庭、オダマキがカービン銃を構え、かたっぱしから生徒を見つけては撃っている。かつてオダマキを笑っていた不良たちが命乞いするが無表情に撃つオダマキ。キャメリアたちが駆け込んでくるが狙い撃ちされて逃げていく。中庭での虐殺が終わり、食堂に向けて歩いて行くオダマキ

監督生室。銃声と悲鳴が食堂の方から聞こえてくる。慌ただしくロッカーを開けて銃にかけてある鎖を外している紫蘭とスノウ。ライフルはクランで使うには強すぎる、拳銃におしという紫蘭。血を流した男子生徒を担いだキャメリアが入ってくる「オダマキが、オダマキが狂った!」キャメリアを抱きしめるシルベチカ。男子生徒の手当てをシルベチカに頼み、ベレッタを掴んで部屋を出るスノウ。紫蘭はキャメリアにもショットガンを押し付け「お前も行くんだよ!」と押し出す。食堂。撃たれた生徒たちがあちこちに倒れている。カウンターの下で死んでいる生徒を見つけるスノウ。隠れても探してひとり残らず殺していることを知るスノウたち。図書室の方からまた銃声が聞こえる。「なんでこんなことになったんんだ!」震えているキャメリア。

「大人」が何人か門から入ってくることに気づいて舌打ちする紫蘭。窓から顔をのぞかせたオダマキが大人たちを撃つ。慌てて門の外に逃げ出す大人たち。何度か応射するが、遠巻きにして入ってこなくなる。

オダマキを探すスノウたち。紫蘭とシルベチカは遠巻きにする大人たちを見ている。そこに入ってくるリコリス。これはまずいことになりますね紫蘭さん。紫蘭リコリスに「お前何者だい?」と叫ぶ。紫蘭リコリスのことを知らないということに驚くシルベチカ。私たちいつも一緒にいるのに!

街道。戻ってきたローズたちは街道が大人たちによって封鎖されていることを知る。この先のサナトリウムで銃の乱射事件が起きたと説明されるローズたち。どうしてもそこに戻りたいというローズ。まだ犯人が銃を持ってうろついているのにそんなことはさせられないという大人。マリーゴールドが責任者と話すと言って離れていく。州兵が来るまで州警察は突入しない方針だという責任者。そんなの待っていられない、私たちを先に通してちょうだい!と言うマリーゴールド。キミからもこのレディになんとか言ってやってくれと話を振られるカトレア。カトレアは犯人の名を尋ねる。逃げ出せた生徒が話した犯人の名前は「オダマキ」だった。気が遠くなるローズ。

クラン。二手にわかれたスノウとキャメリアがオダマキを挟み撃ちにしようと狙っている。銃を乱射するオダマキ。合図と同時に飛び出してオダマキを撃つが失敗、撃たれてひっくり返るキャメリア。物陰に隠れて機会を伺うスノウ。近づいていくオダマキ。2人は同時に銃を構えるがオダマキのほうが早い。ふっとばされるスノウ。オダマキが拳銃を蹴飛ばす。必死に起き上がろうとするスノウを無表情に撃とうとするオダマキ。キャメリアが背後から発砲する。命中。血を吐きながらその場に倒れるオダマキ


クランに「大人」が溢れる。運びだされていく怪我をした生徒たち。クランに戻ってくるローズたち。紫蘭が州警察の担当者から事情を聞かれている。マリーゴールドがIDを示して責任者となにやら話し始める。ストレッチャの上のスノウ。撃たれたキャメリアのそばを離れないシルベチカ。

遺体安置所。布をかけられた犠牲者たちが横たえられている。オダマキの姿を探すローズが現れる。ぎょっとしてローズの方を見る生徒たち。ローズはオダマキがどこにいるか尋ねるが生徒たちは冷たく知らないという。

マリーゴールドが救急車のそばで責任者と険悪な雰囲気で話を続けている。「だからそれは困るんですよ」というマリーゴールド。「君は連邦政府の役人のようだがこれは州の法律で扱われるべき案件だ、そもそもこのサナトリウムは一体なんなんだ?どこにも登録されていない。この子どもたちはいったい何だ?なぜこの施設には大人がいないんだ?」と、責任者。そこにカトレアと共に現れるローズ。オダマキは?オダマキはどこ?と。

ちらっと遺体の方を見てしまう責任者とマリーゴールド。「それ」がオダマキであることを知るローズ。ローズを止めるマリーゴールドオダマキの名を呼びながらマリーゴールドたちと揉み合いになるローズ。部下に指示してオダマキの顔を見せる責任者。その無念そうな死に顔。

「あんたたちが、あんたたちがオダマキを殺したんだ!」「あたしのオダマキを殺したんだ!」マリーゴールドたちを睨みつけるローズ。「許さない、あんたたちのこと許さない!」「絶対にゆるさない!」そう叫ぶ。

州兵と警察が引き上げていく。紫蘭マリーゴールドは事件と同時にクランについての説明を求められ、事情聴取のため同行を求められる。「この男、いっそ殺してしまおうか」「そんな乱暴なこと許されるわけ無いでしょ」ひそひそ話をする紫蘭マリーゴールド。クランの秘密に立ち入ろうとするものは誰であっても、という紫蘭

そこに現れるリコリスリコリスは責任者に挨拶するとニコニコと世間話をして去っていく。訝しむ紫蘭たち。責任者は二人に挨拶するとそのままクランから出て行く。「え?」何が起こったのか理解できない紫蘭たち。

リコリスの部屋。花でいっぱいの部屋。シルベチカが紫蘭たちは行かなくても良くなったみたいという。「でもどうしてなのかわからないんだって」

「それは多分、連れていかなければならないことを忘れてしまったのよ。ついうっかり」目の前の忘れな草に目をやりながらそう微笑むリコリス

ローズが傷心のまま部屋に戻る。そこに置かれた手紙「君のために」とだけ記されたメッセージ。同じメッセージを読んで絶句し、涙を流すマリーゴールド。悲劇は終わった。


新シリーズの準備稿タイトルはシンプルで前話が「リコリス」今回は「オダマキ」である。全然イレギュラー能力をクラン生が使ってくれなくて困っているw ちなみに、今回の元ネタは「Bowling for Columbine」(マイケル・ムーア監督) コロンバインとは日本語で言うオダマキのことで、そういう話にしかならない命名なのだと思った。