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行く先不明の競馬blog

Supreme Show/鈴木亜美(2008)

Supreme Show

Supreme Show

'あみーご'こと鈴木亜美中田ヤスタカと組んで録音したシングルといくつかの新曲を併せてリリースした「活動記録集」的アルバム。鈴木亜美の次回作はystkプロデュースではない事が確定しているため「区切り」としてこのアルバムを製作した可能性は低くないと思う。avexとystkの間のプロデュース契約がどうなっていたのかは謎だが、年間にシングル3枚とアルバム1枚と言うのはありがちなパターンだと思う。

さて、内容。基本ダンサブルな楽曲の並ぶアルバムである。ただ、ystkマジックはここにも潜んでおり、アルバムの5曲目までとそれ以降でアルバムの性格が変わる。そしてその結果、終曲「One」が実にかっこよく響くという上手い構成になっている。そしてさらにその勢いで頭から聞きなおすと、なんとただのダンストラックのように聞こえていたTen以下の曲がまったく別物のように(また)かっこよく響くという、まさにマジカルなアルバム構成をystkはやってのけている。

曲別に見て行くとやはり強烈な出来の良さを示すのは終曲「One」でさすが勝負曲の貫禄がある。そして裏名曲「A Token Of Love」が光る。アルバム唯一のバラード「Flower」、そして同曲の導入部の意味を持つストリングスアレンジも美しい「True」。。。短いダンスナンバー「Change My Life」も特筆すべき出来で輝く。


全体として思うのはystkのメロディーメーカーとしての手腕の凄さだ。旋律にまったく無理がないにもかかわらず、とにかくイカしたメロディーの連発。そしてその音符のはね方の見事さ。これだけ音符がはねていたら盆百の作曲能力ではギクシャクした旋律にならざるを得ないと思うのだけど、このアルバムにそんなカッコ悪くかつだるいJ-POPerなメロディなど1曲もない。古い曲の一部に「これ、コルテか?」みたいな部分や「MEGっぽいなこれ」みたいな部分もあるが基本B面とアルバム書下ろし曲は「ここでしか聞けないystkオリジナル旋律」がてんこ盛りで、仮にも一度でもystkファンを名乗った者は一度でいいから耳を通しておくべき良盤に仕上がっていると思う。

が。

それって「鈴木亜美のアルバム」としてはどうなのよ?というのがこのアルバムの最大の問題点ではないだろうか。なんていうのか、この出来のいいアルバムで唯一不満を覚えるパートが「ボーカル」なんである。それってなんか間違ってるような気がする。もしかするとystk的にはもう2年くらい鈴木亜美とじっくり組めればと言う意向もあったのかも知れないけれど、少なくともこのアルバムでは「鈴木亜美のボーカル」と言う音素材を既製のystkサウンドの中に上手くあてはめることにもどかしさを覚えているystkの姿を想像してしまう箇所が少なくない。たとえば「Climb Up To The Top」あたりを聞くと、なんていうのか「鈴木亜美の同時代的アップデート」という目標は未達のまま終わったのではないかと言う印象さえ感じてしまい、なんとも言いがたい気持ちに囚われる。


鈴木亜美のアルバムとして聞かなければ「とてもよいアルバム」しかし鈴木亜美のアルバムとして聞くと、突っ込みの足りなさと物足りなさを感じる、そんなアルバムではなかっただろうか。