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20話 月下美人 後編

20話 月下美人 後編

「とうとうクラン生に手を出したか」殺された生徒の遺体を見つめながら感慨深げに呟く紫蘭。この生徒はオダマキが銃を乱射した時に生き残った不良グループの1人だというスノウ。繭期がひどすぎて生きてクランを出られないかなとは思っていたが、こんなふうに死ななければならないほど酷いことはしていないだろうにと嘆く紫蘭に、犯人はそう思っていなかったのでしょうと応えるスノウ。お前はローズが犯人だと本当に思っているのかい?と紫蘭

マリーゴールドが新聞のスクラップから日付を抜き出して地図の上のピンのところに書き込ませている。なんでこんなことするわけとカトレア作業員。周期性があれば次の犯行日がわかりますとマリーゴールド。だいたい29日とカトレア。なるほど、一月に1人ですねと言うマリーゴールド。一月には少し足りないわというカトレアだが、入ってきた紫蘭はすぐに作業をやめさせる。

「お前はなんでカトレアに教えるべきでないコトばかり教えるんだい!」と強くなじる紫蘭。いけませんか?とマリーゴールド。「何のためにクラン生の記憶を定期的に書き換えてると思ってるんだい!?」「アタシたちだって好きでこんなことやってるんじゃないんだよ?!」そういうの、反対だなぁとマリーゴールド

「じゃあ聞くが、このクランの意味についてクラン生が裏も表も全部知ったとして、お前そのことに責任持てるのかい?」「それは本部が責任を負うべき事柄では?担当だからといって紫蘭さんたちが何でもかんでも背負い込んでも仕方ないです」「お前はなにもかも他人事でいいね!」強い口調でマリーゴールドを批判する紫蘭

マリーゴールドは本当に紫蘭が怒ったので少ししょげてしまったが、それでもカトレアとの作業で気がついたことを報告した。「そんなに気を悪くしないでくださいよ」「役に立つかと思ってしたことですよ」「報告してもいいですか?」

新月です。犯行は新月の晩に限って行われています」「これは時間の経過について曖昧な環境にあるこのクランでは考えにくいことです」「カレンダーもなしに新月がわかるというのは考えにくいですし、そもそもクランから月は見えません」

「雨が降っているからか」「そうです。雨雲に隠れて月の状態はわからないはずです」「つまり自分で暦を作ることも出来ない?」「クランには昼と夜が来るのに正確な日にちの経過がわからないのはそのためですよね?」「創立者であるソフィ・アンダーソンがそこまで考えてクランをこんな雨の森の中に作ったのからまではわからん」「ありそうな話だとは思いませんか?」

「単に新月の晩は月明かりがなくて真っ暗だからではないの?」そっけないスノウ。犯罪者は暗い場所を好むのだと。目立たないし、犯行もしやすいだろうと。ローズ犯人説に固執するあまり客観的な判断ができなくなっているとマリーゴールド新月って何?と聞くカトレアだが「あなたにはわからない」「聞かなくていい」とそっけないスノウたち。また私のことバカにして!と腹を立てるカトレア。説明してもいいですが、と、マリーゴールド

「まず地球はわかりますか。地球」「わかるわよバカにしないで」「月はわかりますか月は」「わかるわよ空に浮いてるあの月でしょ」「なぜ月は満ちたり欠けたりするのかわかりますか?」「それは見たままでしょ?」

「私にはあなたたに月の満ち欠けを理解させるのは無理です」「ちょっとどういうことよ!」首を振るスノウたち。お前にクランの秘密を明かす日が来たようだねと紫蘭。なによ改まって。「やめてくださいよ。カトレアさんを不幸にしたいんですか?」真剣なマリーゴールド。身構えるカトレア。

「カトレア。このクランのある地球は、回っているんだ。知っていたかい?」「バカにしてるでしょ」

しかし、新月の晩にオトコを誘って手に掛けるって、まるで月下美人みたいな奴ですねとマリーゴールド。当然月下美人と言われてもなんのことかわからないカトレアはマリーゴールドに説明を求める。

月下美人 年に一度きり新月の夜に咲き、若いコウモリのオスを花芯から漂わせる強い香りで誘い、その舌で花弁から溢れる蜜を舐めさせ、代わりに種をつける」植物図鑑を手に月下美人を説明するスノウ。なかなか示唆的な記述だと思いませんかとマリーゴールド。つまり、月下美人の様な女がクランにいると?と紫蘭

「残念だけど月下美人という名の子はクランにはいない」とスノウ。「過去はどうです?」「過去は知らん。調べないとわからん」という紫蘭。あなたの名前は何を聞いても「知らん」と答えるところから来たんですかとマリーゴールド。あなたたち仲が良すぎるわとカトレア。そうかい?と紫蘭

監督生の職務に戻るスノウだが、荊棘の上に立たされているような辛さは変わらない。女子寮内に漂う軽蔑に満ちた視線。男子から注がれる好奇に満ちた視線。スノウに近づいて「ローズのことで重要な話が」と耳打ちする男子生徒。女子たちは「今の見た?」「誘ってたわよ?」と残酷な囁きを繰り返す。ここではちょっと、と返すスノウに、校舎の裏の納屋で待っていると答える男子。

下級生の授業を終え納屋に向かうスノウ。男子生徒の姿が見えず「からかわれたのかしら」と思うが、いきなり納屋から手が伸びて中に引っ張り込まれる。そこには目をギラつかせた数人の男子生徒がおり仰向けに押し倒したスノウの両手両足を押さえつけると、口にねじったタオルを詰め込む。バタバタと暴れるスノウのリボンタイをゆるめボタンを引きちぎって一気にブラウスの前を開ける男子。古風な乳バンドを背中から外すのに手間取った生徒はむりやり下からたくし上げて胸を露出させる。支えを失いタプンっと揺れながら顕になる白い乳房。それを見た1人が思わず「でけぇ」と呟く。その言葉に火をつけられた男子たちが一斉にスノウのカラダにむしゃぶりつく。必死にもがきながら悲しげな声を上げるスノウ。1人がスボンを下ろし、そのままスノウの下半身に覆いかぶさろうとした。目をつぶるスノウ。

「お楽しみのところ失礼します。ちょっといじめにしてはやり過ぎじゃありませんかみなさん」入り口に銃を構えたマリーゴールドが立っていた。見張りの腕をねじ上げたカトレアもいる。

「全員懲罰房一週間だ」「ずいぶん軽いんですね。クラン追放かと思った」「入れるところまでは行っていないからな。未遂だとここまでさ」「彼ら輪姦しようとしたんですよ?監督生を」「監督生だからと言って特別扱いは出来ん。たとえスノウに何の非がなかったとしてもだ」「非があっても強姦は強姦でしょう?」「私

だって腹は立つよ。だからといって追放は出来ない。クランの揉め事はクランで留めなければならないんだ」マリーゴールド紫蘭が生徒たちの処遇について議論している。生徒たちはローズを嫌っているスノウに彼女の名前を出せば誘い出せると思ったと、単に出来心からやったことだと説明した。最近のスノウを見ているとたまらないとも言った。やれやれ、首をふる紫蘭

ローズが不良生徒を「スノウを辱めるのに失敗したじゃないか!」と責めている。不良はマリーゴールドたちが守ってるとは聞いてなかったと言い、これ以上は自分でやれよと突き放す。タダであれだけサセてやったのに!役立たず!なじるローズ。やっぱりあなただったのね、後で糸を引いてたのは。カトレアが睨んでいる。

「なんだよ、なんか文句あるのかい?」「あるわよ。スノウは幼なじみの親友よ。傷つけたのは許せないわ」「その幼なじみは人買いにどこかに連れて行かれたじゃないか!」「だから、もう後悔したくないのよ」「キレイ事言うなよ、アンタだって幼なじみのこといじめてたじゃないか!」「だから、後悔しているっていったわ」

「アタシのオダマキはあの女に殺されたんだ!」ローズは憎しみのこもった目で毒づいた。

オダマキは気が狂って」「狂ってなんかいない。オダマキはアタシのことをこのクランから解放しようとして」「解放?繭期のヴァンプがクランに送られるのはみんな同じでしょ」「アンタ、ホンキでそう思ってんの?」「どういうことよ」

「このクランはアタシたちを閉じ込めておく檻なんだ。あたしたちは死ぬまでこのクランから出られない!」「そんなわけないわよ。繭期が終われば」「繭期なんかいつになったら終わるのさ!」「どうしてそういうこと言うわけ?」「教えてもらったんだ。アタシ、このクランに来る前、ローズじゃなかった。アタシには本当の名前も家族もあった。。。アタシたちはみんなここに送られてきたんだ。ここで死なせるために!」「なぜ?」

「イレギュラーを持ってるからさ。。。」「誰から聞いたのそれ」「誰でもいいだろ!どうせ、みんなここで死ぬんだ!」「繭期で頭が行っちゃったのローズ?」「アタシの名前はローズじゃない。アタシの本当の名前は」

「Qeen of Night」「夜の女王」

「本当にローズがそういったのかい!?」紫蘭が厳しくカトレアを詰問する。カトレアは驚いて「でも夜の女王って、名前なの?」と不思議そうな顔。マリーゴールドが植物図鑑を開いて言った「Qeen of Nightの別名が月下美人です」「じゃあ、ローズが犯人なの!?でもなぜ?」「そこは何も言ってなかったんですか?」

「いや、偶然かもしれない」首を振る紫蘭「連れて来て話を聞かせてもらうのがいいですね」とマリーゴールド。「すまないね。スノウが頼れればいいんだけど」スノウは事件のあと「監督生なんかやめてやる!」と怒鳴ったきり自室に閉じこもったままらしい。

「アタシを探してるのかい?」マリーゴールドの前に現れるローズ。「ローズさん、あなたの本名は月下美人だって聞きましたけど」「カトレアがそう言ったんだね」「本当ですか?」「本当だったら?」「紫蘭さんがその件でどうしても話がしたいって」「いまさら手遅れさ」「手遅れ」「もう、月下美人は咲いてしまった」

「あたし、月が登ると自分が自分じゃなくなるんだ。何もわからなくなって、気が付くとオトコと寝てる。アタシの中のアタシが目覚めたみたいなんだ」「それが、月下美人ですか」「アタシ、夢の中で人を殺してるみたい」「それ、やめられないんですか」「見る夢は選べないよ。月下美人ていう女の子が人を殺して心臓をくり抜く。アタシにはどうしようもない」「どうしようもないことはないでしょう?」ローズはクスリを見せた。

(まがい物のウル!)「クランの中にこのクスリをくれる子がいるみたいなんだ。名前も顔もわからない。けどこのクスリを飲んでいると嫌なことは全部忘れられる」「そんなクスリ飲んじゃいけない!」「辛いんだよ。苦しいんだよ。アイツがいなくなってから。クスリで全部忘れたいんだ!」「月下美人が目覚めたのはそのクスリのためなんですね?」「月のせいさ。全部月のせい」「そんなもの飲み続けたら死んでしまいますよ!」

「アタシは、もう死んでも構わない。あとはこの子が全部やってくれるから」ローズはそういうと隠し持ったナイフをマリーゴールドめがけて振り上げた。「月下美人!」叫ぶマリーゴールド。フォローしていたカトレアが発砲するが容易く避けてしまうローズ。マリーゴールドも発砲するが笑いながら銃弾を避けるローズ。ローズは高笑いを上げながら寮の方へ去っていく。「今のなんなの!?」驚いて指差すカトレア。「月が相手じゃ、勝ち目はないかもしれませんね」

「ローズが月下美人で間違いないんだね?」厳しい表情で聞き返す紫蘭。「ですが、どうも様子が変でした」クスリで人格が変わっているのではないかというマリーゴールド。カトレアもローズを助けたいという。

「これ以上の犠牲者は出せない。理由の如何を問わず、殺人は防がねばならん」きっぱりという紫蘭。ローズが月と自分のイレギュラーについて示唆していたことを話すカトレア。それがローズのイレギュラーの発動条件なのかもしれないねとローズ。至近距離から発砲してもすべて防がれてしまい下手をすれば返り討ちに遭いかねないと危惧するマリーゴールド。「今日の月の出は?」「18時ちょうど」「月はおよそ没するまでに11時間、午前5時頃までには沈むはずだね」「そこを狙う?」

「今日は新月の晩。まごまごしていればまた誰かが心臓を繰り抜かれる。お前たちはなんとしても、その前に月下美人を倒す。いいね?」「無茶をおっしゃる」「銃が効かない相手なのよ?」紫蘭はあきれて

「そんなことだから貴様らはいつまでたってもブラドの犬止まりなのだ」「これは厳しいお言葉」「わたしそんなのじゃないし」

地図の上で作戦を示す紫蘭。まず月下美人を監視し殺人を妨害する。その上で強引に撃ち合いに持込み追うふりをしてクランの外、つまり月が見える場所に引きずりだす。その後はひたすら逃げまわった後、月の入りを確認して反撃、なお抵抗するなら仕方ない、射殺してもよい。

「逃げるのはあまり得意じゃないんですが」しぶしぶ作戦を受け入れる。マリーゴールド

夜。消灯したクランを巡回するキャメリア。その前にふらりと姿を現すローズ。「君、男子寮で何やってるんだ?」問い詰めようと近づくキャメリアだがローズのスカートの下から漂う香りに我を失う。「ここじゃダメ。監督生がうるさいからさ」キャメリアをクランの森に連れ出すローズ。待ち伏せていたカトレアが追跡を始める。

「さあ、ここなら誰にも見られない。好きにしていいよ?」スカートをたくし上げるローズ。その前に膝をつき目の色を変えてローズの花弁にむしゃぶりつくキャメリア。ローズが腰を落として股を大きく開いていく。雨の森の中、二人は繋がった。ローズは気持ちよさそうに腰を動かしながら隠し持ったナイフに手をやる。それをライフルで狙っているマリーゴールド。撃つ。楽に避けるローズ。森の奥に走り去る。それを追うカトレア。手はず通り追う振りをしながらクランの外へとローズを追い込んでいくカトレア。雨が止む。クランの外に出たことを確信するマリーゴールドだが

「森の中じゃ月が見えないじゃないですか紫蘭さん。。。」焦るマリーゴールド。「今何時なの?」カトレアが聞いてくるが時計が壊れていて時間がわからない。誰がが事前に時計を壊したことに気づくマリーゴールドだが今はそんなことを言っている場合ではなく。とにかく、月の出ている間は月下美人の力を持つローズに勝てないことは明らかだというマリーゴールド。じゃあ、月の見えるくらい開けたところに出ましょうよと提案するカトレアだが、向こうからも丸見えになる、狙い撃ちされたいんですか!?と反対するマリーゴールド。見えない敵に神経をすり減らす2人。

もし月下美人が自分たちを追うのをやめてしまったらまた犠牲者が出る。そうなったら何のためにクランから出てきたのかわからないとカトレア。これ以上ローズに同族殺しはさせられないと言う言葉に、自分が囮になるというマリーゴールド。その隙に月を見つけて沈むと同時に銃声で知らせて欲しいと。

「ねえ、戻ったら新月のこと教えてよね」「約束しますよ」そう言って別れる2人。月を探すカトレアだがその前に姿を現すローズ。銃を向けようとするカトレアだが頭の芯が痺れて言うことを聞かなくなっている。

「いらっしゃいお客さん。お代は若い活きのいい心臓で構わないよ」ローズのスカートの下から漂う匂いに憑かれたような目をしたまま膝をつくカトレア。「アタシのイレギュラーは相手が女の蜜の味を知ってさえいればオトコでも女でも操れる。だから、アンタを誘い出したのさ」スカートをたくし上げるローズ。顕になる花弁。負けちゃいけない。カトレアは頭ではわかっているのだが、ゆっくりと舌を伸ばして蜜の溢れる花芯に惹かれていく。大きく股を広げて尻をついたローズが微笑みながら言った「おいで」カトレアはむしゃぶりついた。

カトレアが胸をはだけたまま苦しそうに悲鳴を上げている。何度イカされたのかもうわからない。ローズがカトレアの敏感な部分を責めるたび、カトレアはあっけなく絶頂を迎える。心臓が張り裂けそう。誰か助けて。

「TRUMP様に心臓を捧げる時間さ」むき出しの乙女の胸にナイフを突き立てようとするローズ。「天国に行かせてあげるからね」振り上げられた右腕。

マリーゴールドがローズを狙撃した。吹き飛ぶローズ。ローズの血を浴びたカトレアの白い裸身。

「もう少し早く月が沈んでいたら、あなたを撃たなくても済んだのに」目を開いたローズにそう話すマリーゴールド。「そうか、月が、沈んでたんだね。気が付かなかったよ」無念そうなローズ。

「アタシは、アンタみたいにクランの外に自由に出ていける奴が憎かった」「アタシみたいなイレギュラー持ちは永久にクランから出してもらえないと知らされて、アタシは」「ローズになれて、オダマキと会えて本当に幸せだった」「紫蘭にいっとくれ。約束は守ったよって」「ローズにしてくれた時の約束を」そのまま事切れるローズ。

「ローズは死んだのかい」寂しげに呟く紫蘭。カトレアがファルスの隣のベッドで寝かされている。

「あなたはローズさんが月下美人だって知ってましたよね。知ってて私たちに殺させたんだ!」怒鳴るマリーゴールド。「確信はなかった。心の何処かでそうあって欲しくないと言う気持ちもあった。だから、お前にそうだとは教えられなかったんだよ」弱々しげにそう話す紫蘭。その髪に目立つ白髪。小さな肩。

「それに、これは約束なんだ。もし次に月下美人が目を覚ましたら、その時は殺して、と」「私は、結局、あの子に何もしてやれなかった」「幸せにしてやりたかったさ…」

マリーゴールドはやり場のない怒りを抱いたまま病室を出た。

リコリスの花園。人形のように座っているリリー。リコリスがローズの死を嘆き悲しんでいる。薔薇の鉢植えを叩きつけて割ってしまうリコリス

「でもいいわ。クランの月下美人は一輪だけじゃないもの」「ねえリリー?」

答えないリリー。リコリスはその首筋に舌を這わせ、噛んだ。リリーが小さく叫んだ