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行く先不明のパソコンblog

ばくわら 番外編 リリウム そのじゅう

・シルベチカとキャメリア

・「マリーゴールドってっ子はどうなの?」

・「頭のいい子よ」「でもリリーのことを怖がってる」「近づこうともしない」

・「もうすぐお別れだからね」「せめて、誤解だけでもといてあげなきゃ」

・「死んだマリーゴールドそっくりの子」「みんな声には出さないけど気味悪がってる」

・「リリーが一番辛いんじゃないかな」「マリーゴールドが死んだのは自分のせいだと思ってる」

・「なんでまた現れたんだろう」「あの子のせいじゃないけど」「残酷過ぎる」

・「そういうところも含めて何とかしなきゃね」

・「ねえキャメリア」「リリーのお葬式のことだけど」「私、準備するの嫌だな」

・「そんなこと言っても」「こんな森のなか、葬儀屋さんが来てくれるわけでもないし」「これも監督生の勤めだよシルベチカ」

・「私たちの繭期も、そろそろ終わる」「リリーもいなくなって、みんなこれからどうするのかな」

・リホとマリーゴールド

・「あの、どうして私と」

・「もうすぐ私、死ぬの」「その前にきちんとお話してみたかった」

・「病気、ですか」

・「うん」「お医者様によると、血が、よくないんだって」「ファルスが、色々なお医者様に相談に行ったけど」「病名を聞いただけで」「みんな、首を振ってしまうって」「ダメみたい」

・「ファルスさんって、男子寮の監督生ですよね」「付き合ってるんですか?」

・「病気になる、少し前からね」「ふたりとも、そろそろ繭期が終わるの」「でも、彼と一緒にはなれそうにない」「私は、繭期を終える前に死ぬ」

・「それでその、どうして私と」

・「あなたは、死んだ私の親友によく似ているの」

・「その人も病気で?」

・「。。。自殺したの」

・「(絶句)」

・「自分の部屋で、首を切って」

・「私はその人じゃありません」「見てくださいホラ、首も、きれいだ」

・「みんなからもそう言われた」「あの子は別人よ」「マリーゴールドじゃないって」

・「同じ名前、なんですね、私と」

・「顔もそっくりよ」「写真もあるわ、見る?」

・「いえ、結構です」「それでその、なぜその話を」

・「私の、一生涯の後悔は、めいめいを死なせたことなの」「わたしが、めいめいを見捨てて、死なせた」

・「それと私は、関係が無いですよ」

・「あなたに会えばあきらめられるかと思った」「あなたは、めいめいじゃないって」「それを納得したかった」

・「ごめんなさい、最初から別人なわけですから」「その」

・「私のことが怖い?」「おかしなことをいう女だって思ってる?」

・「すいません」「このへんで、いいですか」

・リホ、マリーゴールドの手首に巻かれた包帯に気づく。

・「これは火傷の痕なんです」

・「見せてもらって、いい?」

・「いえ」「人に見られたくないんです」「ごめんなさい」

・リホ、無視して包帯を解きにかかる。

・「見せて」「傷跡を見せて」「(必死に)見せて!」

マリーゴールド、リホを突き飛ばして

・「(怒声)見られたくないって言ってるでしょ!」「あなた、おかしいわ!」

・「ごめんなさい。。。私、ただ、確かめたくて」

・「失礼します」

・離れていくマリーゴールド

・シルベチカとマリーゴールド

・「何ですかあの人薄気味悪い!」

・シルベチカ、無言でマリーゴールドの手首を取る。解けて落ちる包帯。

・ざっくりと切った痕。典型的なリストカットの痕。

・「やっぱり、嘘をついていたのね」「火傷の痕なんて嘘」

・「離してください!」振りほどく

・「やっぱり、ここも一緒か!」吐き捨てると自分の部屋に去っていくマリーゴールド

・「あなたは波紋」「穏やかな水面に投じられた一粒の小石」「なぜ戻ってきたの」

・キャメリアとリホ

・「あんなことしたらだめだよ」「せっかく仲良くなれる機会だったのに」

・「わからない」「どうしてこんなことしてしまうのかわからない」「私、時々、私でなくなってる時がある気がする」「めいめいが死んだ時もそうだった」

・「このクランに伝わる古い伝説を知ってる?」「このクランには魔女が住んでいて」「みんなを操っているって」「ケンカやいじめはみんな魔女の仕業なんだって」「おとぎ話さ」

・「ありがとう」「慰めてくれて」

・「どういたしまして」「シルベチカからもよろしく頼まれたからね」

・「一緒に、なるんだ」「おめでとう」

・「完全に繭期が終わって、クランを出たらね」「お館様の赦しも貰ったから」「でも、子供はダメっぽい」

・「どうして?」

・回想 研究室 ファルスとシルベチカ、キャメリア

・「ウルを飲んでいる限り子供は育たない」「お腹の中で死んでしまう」「あきらめてくれ」

・「薬をのむのをやめたら」「赤ちゃんが産めますか?」

・「その前に君が死ぬ」「君はもともと、死ぬはずだったんだ」「繭期を超えられずにね」

・悲しみに沈むシルベチカ。その肩をそっと抱くキャメリア

・食堂 キャメリアとリホ

・「人は何かを得るために、何かを失っていく。僕とシルベチカの赤ちゃんも、たぶん、何かの代償だ」

・「(小さな声で)もうすぐいなくなる」

・リホ、キャメリアを抱きしめる。

・「ごめん、君を慰めるつもりが、僕が慰められてるね」「ごめん」「君を悲しませるつもりじゃなかった」

・突然、叫び声

クレマチスが手に短剣を持ち、絶叫しながら飛び込んでくる。

・とっさにリホをかばうキャメリア。その腹に刺さる短剣。

クレマチス、キャメリアから剣を抜くと、リホを狙って襲いかかる。リホの盾になるキャメリア。

・「やめろ。。。この人に、触れるな。。。!」

・「なにやってるんだ!」紫蘭が食堂に飛び込んでくる。逃げ出すクレマチス。追う紫蘭

・キャメリアの名を叫ぶリホ。騒ぎを聞きつけた生徒たちがやじうまの様に群がってくる。

・「ちくしょう」「ついてないや」「せっかく、繭期が終わる」「シルベチカと一緒になれるのに」

・リホは必死に「誰か、血を止めて、誰か!」「血を止めて、誰か!」

・「でもきっと、そうだ、これで」「僕の命の代償で」「僕達の子供が」「シルベチカ」「愛してる」

・キャメリアは死んだ。リホは突っ伏して。

・塔の上。

・追い詰められたクレマチス。階段を上がってくる紫蘭ミモザ、ジャスミン、他の生徒たち。

・「もう逃げ場はないぞ」「つばさでも生えていない限りな!」

・「私にはつばさがある」「こんな地獄からはもうオサラバよ!」

・「そうか」「なら」「飛べ!」

・塔から飛ぶクレマチス。生徒たちの悲鳴。

・墜死したクレマチス。アヤカ、その姿を冷たく見つめる。

・キャメリアの葬儀

・雨が降っている。棺の中のキャメリア。ファルス以下喪服の生徒たち。手に百合の花を持っている。一人づつ、キャメリアの周囲を百合の花で埋めていく。

・中庭

・ベンチに腰掛けたまま凍ったように動かないシルベチカ

・ローズたちが話している「かわいそう」「でも、クレマチスはどうして」「これも魔女の仕業なのかしら」「シルベチカのお腹の中に、キャメリアの赤ちゃんがいるって本当?」

・リホがやってくる。いつの間にかシルベチカがいない。

・「シルベチカを見なかった?」「塔の方へ歩いて行くのを見ましたけど」

・リホは胸騒ぎを感じて。

・長い長い階段

・命を削りながら登っていくリホ。脂汗が浮かんでいる。途中で何度も膝をつき、肩で息をしながら、必死に登っていく。

・塔の上

・一人で曇天の空を眺めているシルベチカ。たどり着いたリホ。気丈に話しかける。

・「こんなところにいたら風邪をひくわ。みんなのところに戻りましょう」

・「晴れていればこの方角に故郷が見えるはずと、キャメリアはいつも言ってた。私たち、クランを出たらそこで暮らすはずだったのに」「私たち3人で」「どうしてこの雨はやまないんだろう」

・「やまない雨はない」「キャメリアが、愛してるって言ってたわ」「最後に、あなたの名を呼んで」「愛していたと」

・「雨がやんでも、もうあの人はいない」「私の生きる意味もなくなった」

・「そんなことないよ」「生きなきゃ」「生きなきゃダメだよ」「キャメリアの分も生きなきゃダメだ」「お腹の赤ちゃんの分も生きなきゃダメだ」「私の分も生きなきゃダメだ」

・「リリーさん。。。」

・「生きられるのに自分から死んでしまうなんてズルいよ」「みんな私より先に死んでしまうなんてズルいよ」「ズルいよ」

・リホ、がっくりと膝をついて。息が浅い。震えている。シルベチカはハッとして。

・「リリーさん!」「大丈夫ですか!」

・リリー、額に脂汗を浮かべて

・「私は大丈夫」「でも、塔を降りるのに少し、肩を貸してくれると、うれしいかな」

・長い長い階段

・シルベチカの助けを借りて、ゆっくりと、1段1段ずつ降りていくリホ。

・「死んじゃうなんて、だめだよ」「生きなきゃいけない」「まだ、生きなきゃいけない」

・リホ、ふっと立ち止まると、腰から下の力が抜けていく。シルベチカが支える間もなく。

・階段を転げ落ちていくリホ。

・どしゃぶり。中庭。

・放心したファルスが寝転がっている。

・「僕はバカだ。また大切な人を失った。3000年間、ずっとこのザマだ。誰も守れない。。。!」「シルベチカになんて言って詫びるんだ僕は」

・「あんたまるでガキね」傘を差したチェリーが言う。

・「ねぇ、君、僕を殺してよ。せめて心だけでも殺してくれ」

・ファルスを口汚く罵るチェリー「時間がないのよ、さっさと起きなさい」

・ファルスを置いていこうとするチェリー、その裾を掴むファルス。睨んでいる。

・「離してよ。薄汚いドブネズミ野郎」

・起き上がって、チェリーに掴みかかるファルス。傘が落ちる。もつれ合ったまま倒れこむ。

・ファルスの下のチェリー「弱虫」「あんたは凄んでるだけ。何も出来ないクセに(挑発している)」

・暗転。服を引き裂く音。チェリーの抵抗する声、激しい雨音にかき消される。

・研究室 ファルスとチェリー

・毛布にくるまったままうずくまっている泥だらけのチェリー

・「すまなかった。僕はどうかしてた。すまなかった。調合を続けよう。君しか頼れる人がいないんだ」

・独白「私は天国へ行くことはないんだろう。もうすぐ死のうとしている親友の彼を、寝とった。卑怯な挑発で」

・「でも、私だってもう疲れた。リリー、疲れたんだよ」

・研究室に飛び込んでくるカトレア

・「大変だ!リリーが!」「塔の階段から、転げ落ちたって!」「今、シルベチカが!」

・ファルス、カトレアと一緒に部屋を出て行く。取り残されるチェリー。

・「ここは、永遠に時間が止まっていると思っていたけど」「私の罪だけは増えていく」「そうか、ここは、私の地獄なのか」「地獄では時間は永久に進まない」

・立ち上がるチェリー。毛布が落ちる。はだけた胸、ボロボロのブラウス、裂けたスカート。

・その姿のまま、実験機材に向かい、試験管を振り出す。